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2024年5月第212号
事務所便りあさひ2024年5月第212号の記事を更新致しました。
ー 見えない方向性

いよいよ7月に新日本銀行券が発行される。20年ぶりの新札の顔ぶれが、渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎となることは周知の事実だ。これら3氏の一族からすればとても喜ばしいことであろうが、その他の国民にとっては決して歓迎することでもなさそうだ。経済アナリストの中には、今回の紙幣の改訂によって1兆円を超える経済効果があると言っていた人もいるらしいが、金融機関と自動販売機を扱う事業者がそれだけの負担を強いられることを意味する。それは巡り巡って銀行手数料や商品価格に転嫁されるわけだから、最終的に負担するのは消費者である日本国民なのだ。金融機関に預けられていない現金、いわゆるタンス預金は日本全体で30兆円とも50兆円とも言われているが、実はそのあぶり出しのために大きな犠牲を国民に払わせることとなるのだ。ただでさえ現金取引が少なくなれば政治資金規正法もその機能が発揮されるはずなのに、いまだに紙幣に固執するつもりなのであろうか。政府としてキャッシュレス化の社会の未来デザインをまったく描けていないのだと考えると暗澹たる気分になった。

ー 36協定届は事前に内容確認をして届出していますか?

人事労務管理で話題になるポイントを、顧問先の社長と社労士との会話形式でお伝えします。

社労士 : 社長、ここのところ「2024年問題」という言葉をよく耳にしませんか?この4月から建設業などで長時間労働を是正しようとして、人手不足などの問題がさらに噴出しています。御社は以前から月10時間程度の時間外労働でしたよね?今、業種によっては長時間労働がなかなか改善できないというのが実情です。

社 長 : そうですね。弊社はまだ残業は少ないですが、仲間内の建設業の社長からはこの人手不足と相まって、残業を減らそう、休みを増やそう、という合言葉だけが先行している感じがします。経営者としては本当に悩ましいところです。実際、「2024年問題」で規制されるのは具体的にどんなことなのですか?

社労士 : はい。時間外労働(残業)ができる上限時間が法律で定められています。まず、労働基準法では、1日8時間、1週間40時間の労働時間を超えて残業させる場合には、労使で協定(以下:36協定)し、残業時間の上限を決め、労働基準監督署に届け出なければなりません。その原則の上限は、「月45時間・年360時間」、さらに臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合は、「休日労働含め月100時間未満(複数月平均80時間以内・年6回まで)、年720時間」とすることができます。この上限を超えて残業すると、法違反となります。

社 長 : なんだか難しいですね。簡単に言えば、残業させる場合には労働基準監督署に必ず36協定を届け出ること。そして、その残業時間の上限は労使で決められるのだけど、その決めた上限時間を超えて残業すると法違反になる、ということですね。だから躍起になって残業時間を減らそうとしてるのですね。

社労士 : そうなんです。労働時間を減らそうとすると、結果として、人手がさらに足らなったり、工期が延びたりもしているようです。また、36協定を最近になって初めて締結し、届出したという会社も増えています。

社 長 : そうなんですね。あらためて36協定を届出する上での注意点を教えてください。

社労士 : はい。ここでは4点お知らせしますね。まず、①労働時間をきちんと把握することです。可能な限りタイムカードなど客観的に始業終業時刻を確認でき、労働時間がわかるもので記録してください。②次に、自社の残業時間や休日労働が何時間あるか把握してください。③そのうえで、労使間で残業時間の上限を決めます。④そして、届出にあたっては会社(使用者)と労働者代表とが締結します。その労働者代表は、労働者の過半数で組織する労働組合、その労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者となります。

社 長 : なるほど、やはりきちんと労働時間を把握することがスタートラインですね。あと労働者代表は、会社(使用者)が指名した者ではダメですか?

社労士 : はい、会社がまず指名するのは構いませんが、その者が労働者代表になるためには、労働者の中で過半数の賛同を得ることが必要です。投票やサイン、挙手などの方法により、確実に労働者の中から選出してください。これを怠るとそもそも36協定自体が無効になりますので特に注意です。無効になれば残業できません。さらに経営者に近い、管理監督者を労働者代表にすることはできません。

社 長 : なるほど、ただ単に書面をつくり届出するだけでなく、事前に慎重に確認しなくてはいけませんね。ありがとうございました。

※ご不明な点はあさひ社労士事務所まで。

ー 交際費等に係る飲食費の改正

令和6年度税制改正では、交際費等の損金不算入制度について、交際費等の範囲から除外される飲食費の金額基準が「1人当たり1万円以下(改正前:5,000円以下)」に引き上げられました。

<令和6年度税制改正の概要>

令和6年度税制改正では、交際費等の損金不算入制度について、次の見直しが行われました。

① 交際費等の範囲から除外される飲食費の金額基準が1人当たり1万円以下に引上げ

② 接待飲食費の50%損金算入特例と中小企業の定額控除限度額(年800万円)の特例の適用期限が令和9年3月31日まで3年延長

<飲食費の金額基準の概要等>

飲食費の金額基準が1人当たり1万円以下に引き上げられたこと以外に見直しは行われていません。

対象となる飲食費の定義は、「交際費等のうち飲食その他これに類する行為(飲食等)のために要する費用」で、次の事項を記載した書類を保存していることが適用要件となります。

(1) 飲食等のあった年月日

(2) 飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係

(3) 飲食等に参加した者の数

(4) 飲食費の額並びに飲食店、料理店等の名称及びその所在地(店舗を有しないことその他の理由によ

り名称又は所在地が明らかでない場合は、領収書等に記載された支払先の氏名又は名称、住所若しく

は居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地が記載事項となる)

(5) その他飲食費であることを明らかにするために必要な事項

<適用時期>

令和6年4月1日以後に支出する飲食費について適用されています。同日前に支出した飲食費については、1人当たり5,000円以下の飲食費であるか否かで損金算入の可否を判定します。

<飲食費の支出の意義>

令和6年3月の取引先との接待時にクレジットカードで支払った飲食費の引落しが同年4月となった場合、「飲食等の行為があったとき」は同年3月であるため、1万円基準ではなく、改正前の5,000円基準で損金算入の可否を判定することになります。

<1人当たりの飲食費が1万円を超えた場合>

飲食費が1人当たり1万円を超えた場合、1万円を超える部分のみが交際費等に該当するのではなく、全額が交際費等に該当することになります。

詳しくは弊社までお気軽にご相談ください。

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