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2019年12月第159号
事務所便りあさひ2019年12月第159号の記事を更新致しました。
ー 1|「公私混同」|

最近の新聞やテレビの報道のお陰で「桜を見る会」というものがどのような行事なのかを知ることができた。今までほとんど関心がなかったせいか春先のニュースでちらっとテレビから流れてくるという記憶しかない。そもそも内閣総理大臣が主催しているとか、各界において功績・功労のあった方々の日ごろの苦労を慰労することが目的だとか、1万人以上が招待されているとか、初めて知ることばかりだ。安倍晋三事務所が地元の有権者を東京まで呼びあたかも新宿御苑で政治資金パーティーさながらの会合を公金を使って行っているのではと揶揄されている。民間のパーティーであれば主催者が誰を招待するかを決めるのは当たり前の話だが、そのパーティーが公的行事となると話は別だ。主催者だということと招待客を自分で選べるということは別の話なのである。自分の選挙区の有権者を招いて芸能人に会わせることは公職選挙法に抵触する恐れもあるとか。奇しくも11月20日で通算の総理大臣としての在職日数が歴代1位となったばかり。権力を長い間持ちすぎると公人としての言動と私人としてのそれが一緒くたになってしまうのかも。もし総理大臣が法を犯してしまっているのであればその罪の軽重に関係なくポストを追われこととなるのは法治国家として当然であろう。

税経センターグループ 代表 栗山隆史

ー 2|<民事(家族)信託>|

今回は、民事信託についての3回目です。
民事信託も高齢者等(信託の場合は委託者)の財産を管理する方法の1つです。
高齢者等の財産を管理する他の方法としては、「成年後見制度」もあります。その違いをまとめると以下の通りになります。

【財産管理】信託と後見制度の比較

内容 信託 (任意)後見 (法定)後見
期間 契約締結時~契約で定めた終了時まで 家庭裁判所の審判
~本人死亡まで
家庭裁判所の審判
~本人死亡まで
身上看護 対象外 対象 対象
財産管理(対象) 契約で定めた財産 契約で定めた財産 全ての財産
財産管理(権限) 契約の定めによる 契約の定めにより
後見人が代理権
後見人が包括的な
代理権・取消権
本人死亡後の
相続手続
可能 不可
(死亡により終了)
不可
(死亡により終了)
 監督機関 信託監督人
(置くかは任意)
家庭裁判所及び
後見監督人
家庭裁判所(後見監督人が選任される場合もあり)
報酬 契約の定めによる 契約の定めによる 家庭裁判所が決定
 不動産の売却 可能(権限内で信託の目的に合う) 契約の定めがあれば可(問題になる可能性あり) 原則不可(自宅の売却は家庭裁判所の許可が必要)
相続税対策 可能(権限内で信託の目的に合う) 出来ない可能性が
高い
原則不可
資産運用 可能(権限内で信託の目的に合う) 出来ない可能性が
高い
原則不可

「信託」は「後見制度」と比較すると、契約に定めれば出来ることが多くなります。それなので、信託を利用するならば、しっかりりとした契約書を作成し、信頼できる相手(受託者)と契約を結ぶことが大切です。

ー 3|パートタイマーが年次有給休暇を取得した際のお給料はどうするの?|

人事労務管理で話題になるポイントを、顧問先の社長と社労士との会話形式で、お伝えします。

社 長:パートタイマー(以下、「パート」という)から年次有給休暇(以下、「年休」という)をとりたいという話がありました。このパートは、月曜日と木曜日の週2日勤務で、月曜日は3時間、木曜日は5時間働いています。年休を木曜日に取りたいとのことですが、お給料はどのように支払えばよいのですか?

社労士:今回の件は、月給者の年休に比べると相談が多いですね。そもそも年休を取得した際に支払うべき賃金については、労働基準法に定めがあります。具体的には、①平均賃金、②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金、③健康保険法の標準報酬日額に相当する額、の3種類で、いずれかの方法により計算することになっています。そして、いずれを適用するかについては就業規則などで定めることになっています。さらに③については労使協定を締結する必要があります。

社 長:へえー そんな選択肢があるんですか。

社労士:はい。月給者の場合には、②を選択し、年休を取得しても賃金を控除しないという取扱いをすることが一般的になっています。ただし、今回のように所定労働時間が曜日によって異なるパートについては、年休を取る曜日によって、支払われる賃金にバラつきが出てしまうため、①を選択するケースもあります。

社 長:なるほど。確かにばらつきが出ますもんね。それではその①の平均賃金の計算方法を教えてもらえますか?過去3ヶ月の状況は以下のとおりとなっています。

○過去3ヶ月の賃金合計:100,000円  ○過去3ヶ月の暦日数:91日  ○過去3ヶ月の労働日数:25日

社労士:原則の計算方法としては、100,000円÷91日=1,098.90円となるんです。

社 長:え!?とても低い金額になりますね。

社労士:これはあくまでも原則なんです。実は、平均賃金には最低保障があります。原則の計算方法と最低保障の計算方法と比べて、いずれか高い方が適用されます。それでは最低保障の計算方法をみておきましょう。これは、過去3ヶ月間の賃金の合計を過去3ヶ月の労働日数で割った金額に100分の60を掛けた金額で、上記のケースでは、100,000円÷25日×60/100=2,400円となりますね。そのため、最低保障の金額の方が高くなり、平均賃金は2,400円として取扱うことになります。

社 長:このように計算するんですね。わからなかったらまた教えてください。ありがとうございました。

※何かお困り事がございましたら、いつでも気軽にご相談下さい。
あさひ社労士事務所:04-7165-0664

ー 4-1|あきない遠眼鏡(とおめがね)~荷積み荷下ろしは休憩?それとも副業?|

私が所属する社労士の陸送研究会でよく引き合いに出される話がある。運送業では連続運転時間の管理という規制があり、4時間走ったら30分休憩しなければいけないというルールがある。ルート配送(例えばコンビニの配達、集荷)という仕事はきついという話が出る。なんとなれば店舗間を走っているときにはタコメーターは運転時間を記録するが、店での荷下ろしはエンジンが停止して荷積みをするためタコグラフ上は止まっているのといっしょ。だからこの時間を記録上は休憩をとっていることにしてしまえという話がある。運転手からすれば車を停めてのこの時間は肉体作業で体がきつい。実感からすればハンドルを握っているときの方が休まるということらしい。休憩をしていないのに休憩とするのは違法だが、現実はそうらしい。

その上を行く事態が起こった。Mさんは荷物の積み下ろしに従事していたときに倒れて亡くなった。過労死が認められるかという事案である。Mさんは停車中は別会社で副業していることにされていた。すなわち運転時間は運送業のA社の社員として働かされ、エンジンを止めて荷積み荷下ろしをしているときはA社の関連会社B社の社員として働かされていた。一日のうちA社、B社を何回も繰り返して倒れたことになる。厚生労働省の見解によれば過労死の認定にあたってB社はMさんにとって副業だからこの副業の労働時間だけを通算すればいいという。労災申請は却下された。最終的に遺族と同僚ドライバーの証言で、ひとつの会社が便宜上、AとBの名を使っただけと過労死認定はされたが、政府が副業をやっきになって推進し、厚生労働省が時間外労働は通算しなくていいと従来の態度を翻しているもとでは、こんなことが普通に起きてくることを憂える。生身の体はひとつしかないのだから。(11月5日の東京新聞より)

 税経センターグループ 顧問 新山 晴美

ー 4-2|【火災保険】-水災被害への補償について-|

先般の台風によって被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧をお祈り申し上げます。

【補償内容の違い】

今回取り上げますのは、火災保険契約における「水災被害補償」に関してです。
火災保険は個人契約と法人(事業用)契約で補償内容が異なる場合が多々見られます。
例えば地震補償ですが、法人契約ではごく一部を除き加入対象外です。

また、今回のテーマである「水災被害補償」に関しても、補償内容が大きく異なるケースがあります。法人(事業用)契約の「店舗総合保険」と呼ばれる契約です。

補償される条件にも違いはあるのですが、問題は補償額です。個人用の「火災総合保険」においては被害の実損額補償がメインであることに対し、事業用「店舗総合保険」では損害割合により「保険金額の5~70%」というようなお見舞金程度の補償がメインになっているのです。(全てとは言い切れませんが)

中でも「商品・製品等または設備・什器」に関しては、床上浸水被害にあっても「保険金額の5%(1事故100万円限度)」という内容の保険契約もあり、いざという事態に補償が全然足りなかった事例も挙がっております。そして「去年と同じ条件で更新」を長年継続されている契約にそのような事例が集まっているというデータもありますので、ぜひご注意ください。

【補償の見直し】

とは言え、補償内容の見直しをして補償内容が良くすれば、当然のことながら保険料もほとんどの契約で上がります。しかし、先日の台風でも多くの地域で「まさかうちが…」といった声が聞かれたのではないでしょうか。まさに「不測の事態」だったのです。

「不測の事態」に備えるのが保険です。「水災被害」に対する備えの見直しご検討をなされてはいかがでしょうか。お気軽にお問い合わせください。お待ちしております。

ファイナンシャルプランナー
阪田 健太郎

ー 5|帝国データバンク景気動向調査報告|12月の税務労務|

ー 6|★★web会議システムについて★★|茨城営業所通信

仕事を進めていく上で会議や打ち合わせは、組織規模の大小を問わず必要なものです。支店や店舗等が多ければ多いほど、会議のための移動時間やコストをかけているのが現状かと思います。

このような問題を解決する仕組みとして、以前から「テレビ会議システム」というものがありました。これは、会議室や打合せスペースに映像を映すカメラやモニター、マイク・スピーカーと言った専用機材を導入して会議を行うものです。対象となる場所に全てに機器の設置が必要なため、初期コストが膨大になるというデメリットを持っていました。一方で、画質や音声は鮮明で、安定して使用することができると言われています。資金力のある組織でなければ中々導入し辛い仕組みだったように思います。

近年、「web会議システム」というものが出てきました。(テレビ会議システムに似ていますが…。)これは、PCやスマホ上で、ソフトウェアやブラウザを使って会議に参加できる仕組みです。専用の機器を必要とせず、スマートフォンやPCがあってインターネットに接続できれば、簡単に利用できます。また、専用の機材が必要ないので会議をする場所も選びません。

<主なweb会議システム>
・Zoom
・Skype
・Lite FreshVoice
・Whereby

先日、某インターネットサービス会社のセミナーに申し込んだところ、そのセミナーは会場に行って受講するのではなく、Zoomというweb会議システムを利用して受講するというものでした。利用方法は非常に簡単で、セミナー主催者からの招待URLをクリックするだけで、自分のノート端末で参加することができました。東京まで移動して往復してくることを考えると大幅な時間やコストの削減を実感できた案件でした。

組織によっては導入による時間・コストの大幅な削減が見込める場合もあるかと思います。一度ご検討してみては如何でしょうか??