今回は、民事信託についての3回目です。
民事信託も高齢者等(信託の場合は委託者)の財産を管理する方法の1つです。
高齢者等の財産を管理する他の方法としては、「成年後見制度」もあります。その違いをまとめると以下の通りになります。
【財産管理】信託と後見制度の比較
内容 | 信託 | (任意)後見 | (法定)後見 |
期間 | 契約締結時~契約で定めた終了時まで | 家庭裁判所の審判 ~本人死亡まで |
家庭裁判所の審判 ~本人死亡まで |
身上看護 | 対象外 | 対象 | 対象 |
財産管理(対象) | 契約で定めた財産 | 契約で定めた財産 | 全ての財産 |
財産管理(権限) | 契約の定めによる | 契約の定めにより 後見人が代理権 |
後見人が包括的な 代理権・取消権 |
本人死亡後の 相続手続 |
可能 | 不可 (死亡により終了) |
不可 (死亡により終了) |
監督機関 | 信託監督人 (置くかは任意) |
家庭裁判所及び 後見監督人 |
家庭裁判所(後見監督人が選任される場合もあり) |
報酬 | 契約の定めによる | 契約の定めによる | 家庭裁判所が決定 |
不動産の売却 | 可能(権限内で信託の目的に合う) | 契約の定めがあれば可(問題になる可能性あり) | 原則不可(自宅の売却は家庭裁判所の許可が必要) |
相続税対策 | 可能(権限内で信託の目的に合う) | 出来ない可能性が 高い |
原則不可 |
資産運用 | 可能(権限内で信託の目的に合う) | 出来ない可能性が 高い |
原則不可 |
「信託」は「後見制度」と比較すると、契約に定めれば出来ることが多くなります。それなので、信託を利用するならば、しっかりりとした契約書を作成し、信頼できる相手(受託者)と契約を結ぶことが大切です。