2019年12月第159号|2|<民事(家族)信託>|

今回は、民事信託についての3回目です。
民事信託も高齢者等(信託の場合は委託者)の財産を管理する方法の1つです。
高齢者等の財産を管理する他の方法としては、「成年後見制度」もあります。その違いをまとめると以下の通りになります。

【財産管理】信託と後見制度の比較

内容 信託 (任意)後見 (法定)後見
期間 契約締結時~契約で定めた終了時まで 家庭裁判所の審判
~本人死亡まで
家庭裁判所の審判
~本人死亡まで
身上看護 対象外 対象 対象
財産管理(対象) 契約で定めた財産 契約で定めた財産 全ての財産
財産管理(権限) 契約の定めによる 契約の定めにより
後見人が代理権
後見人が包括的な
代理権・取消権
本人死亡後の
相続手続
可能 不可
(死亡により終了)
不可
(死亡により終了)
 監督機関 信託監督人
(置くかは任意)
家庭裁判所及び
後見監督人
家庭裁判所(後見監督人が選任される場合もあり)
報酬 契約の定めによる 契約の定めによる 家庭裁判所が決定
 不動産の売却 可能(権限内で信託の目的に合う) 契約の定めがあれば可(問題になる可能性あり) 原則不可(自宅の売却は家庭裁判所の許可が必要)
相続税対策 可能(権限内で信託の目的に合う) 出来ない可能性が
高い
原則不可
資産運用 可能(権限内で信託の目的に合う) 出来ない可能性が
高い
原則不可

「信託」は「後見制度」と比較すると、契約に定めれば出来ることが多くなります。それなので、信託を利用するならば、しっかりりとした契約書を作成し、信頼できる相手(受託者)と契約を結ぶことが大切です。

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