2019年4月第151号|2|<相続法の改正>

今回は、相続の効力等に関する見直しと相続人以外の者の貢献を考慮するための方策についてご説明します。

【相続の効力等に関する見直し】

現行では、特定の財産を承継する内容の遺言等により承継された財産については、登記等の対抗要件がなくても第三者に対抗することができるとされている規律を見直し、法定相続分を超える部分の承継については、登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができないことになります。

例えば、被相続人(父)所有の不動産があり、相続人が長男と次男の2名の場合で、被相続人が不動産は長男に相続させる内容の遺言書を遺していたにもかかわらず、次男が自分の法定相続分2分の1を売却したときに、現行では、次男の買主が先にその持分を登記をしたとしても、長男の取得が優先されます。しかし、改正後は、法定相続分を超える2分の1の持分に関して、長男と買主の取得は登記の先後によって決まります。遺産分割や遺贈による取得の場合は、今までも登記の先後で優劣が決まっていましたので、今後は、取得方法にかかわらず、対抗要件(不動産に関しては登記)が必要になります。

【相続人以外の者の貢献を考慮するための方策(特別の寄与)】

相続人以外の被相続人の親族が、無償で被相続人の療養看護等を行った場合に、一定の要件の下で、相続人に対して金銭請求をすることができるようになります。

例えば、被相続人(父)の長男の妻が、父の介護をしていたとしても、相続財産を受け取ることが今まではできませんでした。しかし、法改正後は、長男の妻は相続人に対して、無償で父の介護をして父の財産の維持又は増加について特別の寄与をした場合に、相続人に金銭の請求をすることができるようになります。ただし、遺産分割に参加できるのではなく、認められるのは相続人に対する金銭の請求です。

なお、これらの施行日は、今年の7月1日です。

 

【法務省ホームページ】

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00222.html

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