2018年8月第143号|3|同一労働同一賃金|

平成30年7月に働き方改革法案が成立しました。安倍内閣が強力に推進してきた法案がいよいよという感じです。中小企業では以下のスケジュールで実施されることになります。

  • 労働時間上限規制(平成32年4月、建設業は平成36年4月)
  • 年次有給休暇5日取得義務(平成31年4月)
  • 高度プロフェッショナル制度(平成31年4月)
  • フレックスタイム制度改正(平成31年4月)
  • 残業時間60時間超の割増率50%以上(平成35年4月)
  • 同一労働同一賃金(平成33年4月)

働き方改革においては労働時間の上限規制が目立ちますが、注目すべきは上記⑥の「同一労働同一賃金」です。6月1日に最高裁判所にて「長澤運輸事件」および「ハマキョウレックス事件」で、同一労働同一賃金を争点とした判決が出ていることも、絶妙なタイミングだったように思います。

無期雇用労働者と有期雇用労働者の間で労働条件が異なる場合、この相違は①労働者の業務の内容及びその業務における責任の程度、②その職務の内容及び配置の変更の範囲等を考慮して不合理であってはならないとされました。

無期雇用労働者と有期雇用労働者との労働条件の不合理性を判断するにあたっては、両者の賃金総額を比較するのみではなく、各種支給項目(基本給、手当等)の趣旨を個別に考慮すべきものであることが明確にされました。具体的な例を次に示します。

  • 無事故手当(安全運転及び事故防止の必要性は変わらない)
  • 作業手当(実施作業に対する金銭的評価は変わらない)
  • 給食手当(勤務時間中に食事をとることの必要性・程度は変わらない)
  • 皆勤手当(人員確保のために皆勤を奨励する点はかわらない)
  • 通勤手当(通勤に要する交通費はかわらない)

上記に関しては、定年後の嘱託社員に関する労働条件についても同じことがいえます。定年退職者の労働条件は現役世代と必ずしも同等である必要はありませんが、それぞれの支給項目の趣旨に照らし合わせながら判断すること、また職務内容がほとんど変わらないにもかかわらず、極端に賃金を6割程度まで引き下げるなどという取扱いは難しくなっていくようです。

中小企業の経営が難しくなる時代がやってこようとしています。不明点ついてはお問合せください。

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 TEL 04-7165-0664 あさひ社労士事務所

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