2020年3月第162号|1|「見えない恐怖」|

太陽の周囲に見える光の輪を光冠というが、あるウィルスの形状がそれに似ているためコロナウィルスと名付けられた。コロナウィルスのうちコウモリからヒトに感染して重傷肺炎を引き起こすようになったと考えられているCOVID-19と名付けられたウィルス、この新型ウィルスが猛威を振るっている。その猛威は中国はもちろんアジアの国々やヨーロッパ諸国にまで及んでいる。この見えない恐怖が我々の健康だけでなく、日本経済にまで大きく影を落とすこととなるとはだれが予想したであろう。外国人旅行客が激減し消費が冷え込んでいるのは観光地だけでなく日本全国の商業地も同じ。影響はインバウンド消費だけでなく中国からモノを輸入して事業を行っている国内企業に、さらにその企業からモノを仕入れて事業を行う多くの企業にとっても大打撃となった。大きさがわずか数十ナノメートル、つまり1万分の1ミリにも満たないほどの敵に人類が怯え、経済も混乱する状況となることを直視しなければならない。ダイヤモンド・プリンセス号内での集団感染をみれば、これまでの日本政府の対応はお世辞にも万全であったとはいえないだろう。国民も企業も政府もこれらの危機に対しどのように対応すべきかをしっかり準備しなければならないという警鐘かもしれない。

税経センターグループ 代表 栗山隆史

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