人事労務管理で話題になるポイントを、顧問先の社長と社労士との会話形式で、お伝えします。
社 長:当社の仕事は月内での繁閑の差が大きく、月初は比較的落ち着いているのですが、月末が非常に忙しく残業をしないと業務が終わらない状況なんです。例えば、月初を1日7時間勤務と短くし、その代わりとして月末については1日9時間勤務とするような働き方はできませんか?
社労士:月内で業務に繁閑の差があって、それに合わせて勤務時間を設定するということですね。このようなケースでは1ヶ月単位の変形労働時間制の活用が考えられます。1ヶ月単位の変形労働時間制とは、ひと月の中で、平均して、1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内で、1日(8時間)および1週間(40時間)の法定労働時間を超えて働いてもらうことができるという制度です。
社 長:うーん、なるほど。。それは、月初の落ち着いている時間を月末に回すというようなイメージですかね。。じゃあ実際、導入するにはどんな手続きが必要なのでしょうか?
社労士:手続きとしては労使協定または就業規則に、①変形期間(1ヶ月以内)と変形期間の始まりの日、②変形期間中のそれぞれの日とそれぞれの週の所定労働時間を定めることになります。
社 長:いまのところ、月末に1日9時間とすることを考えているんですが、この時間数に制限があるんでしょうか?
社労士:1日については労働時間数に制限はありません。でも、変形期間における法定労働時間の枠が設けられていて、その範囲で労働時間を設定する必要があります。例えば、変形期間の月の日数が30日の月、4月や11月では171.4時間。変形期間の月の日数が31日の月、1月や8月では177.1時間となりますのでその時間の範囲で設定します。
社 長:なるほど。その総枠の中で労働時間を設定していくということですね。1日9時間とすることができるという話でしたが、この場合はどこからが残業時間となるんでしょうか?
社労士:1日の所定労働時間を9時間とする場合、9時間を超えた部分から時間外労働となります。通常、割増賃金が必要となる時間外労働は、労働時間が法定労働時間を超える場合となりますが、1ヶ月単位の変形労働時間制の場合は以下のように1日・1週間・変形期間の労働時間それぞれで、時間外労働の時間を確定することになります。
a. 1日 :1日8時間を超える時間を定めた日はその時間、それ以外の日は8時間を超えて労働した時間。
b. 1週間:1週の法定労働時間を超える時間を定めた週はその時間、
それ以外の週は1週の法定労働時間を超えて労働した時間。c. 変形期間:変形期間の法定労働時間総枠を超えて労働した時間。
ただしa、bで時間外労働となる時間は除く。社 長:計算方法がなかなかたいへんそうですが、それぞれで確認することになるんですね。また分からないことがあったら教えてください。ありがとうございました。
※何かお困り事がございましたら、いつでも気軽にご相談下さい。
あさひ社労士事務所:04-7165-0664