令和元年12月12日に与党から令和2年度税制改正大綱が発表されました。
冒頭で「人口減少と少子高齢化が一層進む中にあっても、直面する様々な課題を克服し、豊かな日本を次の世代へと引き渡していかなければならない」と掲げていますが、果たして日本の税制のその先に見えてくるのは?今回は117ページある税制改正大綱からポイントを1頁にまとめてご紹介いたします。
【オープンイノベーション】内部留保を活用し、ベンチャー企業への投資を促進
特定事業活動を行う国内の大企業が、設立後10年未満で上場していないなど、一定の要件を満たした国内のベンチャー企業に対し、1億円以上(中小企業が出資する場合は、1000万円以上)を出資した場合、来年度から2年間、出資額の25%を所得から控除する。
【5G】次世代の通信規格、「5G」の導入を促進
携帯電話会社が、5Gの基地局を計画よりも前倒しで整備したり、地域の企業が5Gの技術を工場や建設現場などに活用してサービスを独自に展開する「ローカル5G」の設備を整備したりする場合に、来年度から2年間、税負担を軽減する。
【富裕層の税逃れ対策】海外に資産を持つ富裕層がターゲット
海外に資産を持つ富裕層が申告漏れを指摘された場合に、海外預金の取引記録などを期限までに提出しなかった場合の加算税を重くする。また、海外の中古不動産の貸し付けで、賃貸料収入を上回る減価償却費を計上し、損失が生じた形を取って所得を少なく見せるケースについては、この損失をなかったものとみなす。
【未婚のひとり親】所得500万円以下のひとり親にも寡婦控除
これまで配偶者と死別したり、離婚したりしたひとり親のみを対象としていた「寡婦控除」を未婚のひとり親にも適用する。以下の表で太字部分が「改正前」→「改正後」。
死別・離婚 | 未婚 | |||
所得金額 | ~500万 | 500万~ | ~500万 | 500万~ |
女性・子あり | 35万 | 27万→× | ×→35万 | × |
男性・子あり | 27万→35万 | × | ×→35万 | × |
【その他】
・国外居住親族のうち30歳以上70歳未満の成人については、留学生や障害者などを除き、扶養控除を適用しない。
・所有者不明の土地については使用者を所有者とみなす制度を拡大して固定資産税を課税。
・市区町村長の確認がされた低未利用地の譲渡所得について100万円の特別控除。
・少額減価償却資産の特例について常時使用する従業員数の要件を500人以下に引き下げ。
・自治体への寄付額について実質9割程度を軽減する企業版ふるさと納税の拡充。
・利子税・還付加算金について、金利の情勢を踏まえ、その割合の引き下げ。
・消費税の申告期限を1ヶ月に限って延長する特例を創設。
・連結納税制度を見直してグループ通算制度へ。
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