人事労務管理で話題になるポイントを、顧問先の社長と社労士との会話形式で、お伝えします。
社 長:パートタイマー(以下、「パート」という)から年次有給休暇(以下、「年休」という)をとりたいという話がありました。このパートは、月曜日と木曜日の週2日勤務で、月曜日は3時間、木曜日は5時間働いています。年休を木曜日に取りたいとのことですが、お給料はどのように支払えばよいのですか?
社労士:今回の件は、月給者の年休に比べると相談が多いですね。そもそも年休を取得した際に支払うべき賃金については、労働基準法に定めがあります。具体的には、①平均賃金、②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金、③健康保険法の標準報酬日額に相当する額、の3種類で、いずれかの方法により計算することになっています。そして、いずれを適用するかについては就業規則などで定めることになっています。さらに③については労使協定を締結する必要があります。
社 長:へえー そんな選択肢があるんですか。
社労士:はい。月給者の場合には、②を選択し、年休を取得しても賃金を控除しないという取扱いをすることが一般的になっています。ただし、今回のように所定労働時間が曜日によって異なるパートについては、年休を取る曜日によって、支払われる賃金にバラつきが出てしまうため、①を選択するケースもあります。
社 長:なるほど。確かにばらつきが出ますもんね。それではその①の平均賃金の計算方法を教えてもらえますか?過去3ヶ月の状況は以下のとおりとなっています。
○過去3ヶ月の賃金合計:100,000円 ○過去3ヶ月の暦日数:91日 ○過去3ヶ月の労働日数:25日
社労士:原則の計算方法としては、100,000円÷91日=1,098.90円となるんです。
社 長:え!?とても低い金額になりますね。
社労士:これはあくまでも原則なんです。実は、平均賃金には最低保障があります。原則の計算方法と最低保障の計算方法と比べて、いずれか高い方が適用されます。それでは最低保障の計算方法をみておきましょう。これは、過去3ヶ月間の賃金の合計を過去3ヶ月の労働日数で割った金額に100分の60を掛けた金額で、上記のケースでは、100,000円÷25日×60/100=2,400円となりますね。そのため、最低保障の金額の方が高くなり、平均賃金は2,400円として取扱うことになります。
社 長:このように計算するんですね。わからなかったらまた教えてください。ありがとうございました。
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